鉄分の働き、欠乏症、過剰症

鉄の働き、欠乏症、過剰症

鉄の働き
赤血球中のヘモグロビンの成分となり、ヘモグロビンによる酸素の運搬に重要な役割を担っています。
各種の酵素を構成する成分となり、エネルギー代謝や筋収縮、活性酸素の除去等に関わります。
鉄の欠乏症
代表的なのは 鉄欠乏性貧血。また、運動機能や認知機能の低下を招くこともあります。
鉄欠乏性貧血は、特に乳児期の後期(離乳期)、月経時、中期・後期の妊婦で注意が必要となり、月経時には4mg前後、妊娠時の中・後期には15mg、多く摂取することが推奨されています。また10歳から14歳では、男女とも、成人より高めの推奨量が設定されています。「鉄の推奨量」の欄をご参照ください。
鉄欠乏性貧血になると、酸素を運ぶヘモグロビンの量が減ることから体内に十分に酸素を届けることができなくなり、疲れやすくなります。酸素不足を補うために、心臓にも負担がかかることとなります。
鉄の過剰症
通常の食生活では、摂り過ぎの心配はありません。
過剰摂取は、サプリメントや鉄強化食品、貧血治療用の鉄剤等の不適切な利用により、起こりえます。アルコールの多飲者も、鉄過剰症を起こす可能性があります。
過剰摂取を続けると、肝臓などに鉄が沈着し、内臓障害を起こす可能性があります。
6歳以下では、鉄剤やサプリンメントの誤飲により急性鉄中毒を起こす危険性があり、注意が必要です。また、鉄の過剰摂取は亜鉛の吸収を抑制します。
耐容上限量が設定されています。
成人男子:50r(18〜29歳、50歳以上)、55r(30〜49歳)
成人女子:40r
鉄の推奨量
成人男子:7mg(18〜29歳、70歳以上)、7.5mg(30〜69歳)
成人女子(月経あり):10.5mg
成人女子(月経なし):6.0mg(18〜29歳、70歳以上)、6.5mg(30〜69歳)
鉄の食事摂取基準(mg/日)
性 別男  性
年 齢 等 推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容
上限量
0〜5(月)0.5
6〜11(月)3.55.0
1〜2(歳)3.04.525
3〜5(歳)4.05.525
6〜7(歳)4.56.530
8〜9(歳)6.08.035
10〜11(歳)7.010.035
12〜14(歳)8.511.550
15〜17(歳)8.09.550
18〜29(歳)6.07.050
30〜49(歳)6.57.555
50〜69(歳)6.07.550
70以上(歳)6.07.050

性 別女 性
年 齢 等 月経なし 月経あり 目安量 耐容
上限量
推定
平均
必要量
推奨量 推定
平均
必要量
推奨量
0〜5(月)0.5
6〜11(月)3.54.5
1〜2(歳)3.04.520
3〜5(歳)3.55.025
6〜7(歳)4.56.530
8〜9(歳)6.08.535
10〜11(歳)7.010.010.014.035
12〜14(歳)7.010.010.014.050
15〜17(歳)5.57.08.510.540
18〜29(歳)5.06.08.510.540
30〜49(歳)5.56.59.010.540
50〜69(歳)5.56.59.010.540
70以上(歳)5.06.040
妊婦(付加量)初期+2.0+2.5
妊婦(付加量)中期・後期+12.5+15.0
授乳婦(付加量)+2.0+2.5
『日本人の食事摂取基準(2015年版)』より
(この食事摂取基準は、女性では、過多月経〈月経出血量が80ml/回以上〉の方を除いて、策定されています)

☆当サイトでは、計算時の「15.ユーザー情報」入力欄で、女性について、「12〜59歳までは月経のあるものとして計算します」としております。12歳未満の場合は「月経なし」としての計算です。10〜11歳の鉄の推奨量は、「月経なし」であれば10.0mgですが、「月経あり」の場合は14.0mgと、4mg多くなります。この点、どうかご留意くださいますよう。
(上記「鉄の摂取基準」の表をご参照ください)

鉄の多い食べ物
レバー、赤身の肉、貝、魚、大豆等に多く含まれます。(レバーにはビタミンAが多く含まれていますが、動物性食品からのビタミンAの過剰摂取は、胎児に奇形を起こす可能性を高めるとされています。妊娠初期の方、及び妊娠を計画されている方は、摂り過ぎとならないようご注意ください。〈「ビタミンAの働き、欠乏症、過剰症」〉
『日本食品成分表 』の七訂版から新登場の「えぞしか肉」もおすすめです。当サイトの「栄養計算」では、まだ対応しておりませんが、えぞしか肉(にほんじか)は、100g当たり、鉄分を3.4mgも含み、たんぱく質も多く(22.6g)、脂質は少なめで(5.2g)、低カロリー(147kcal)です。
※「干しひじき」の鉄分について
『日本食品成分表 2015年版(七訂)』では鉄の含有量が変更となっています。100g当たり、鉄分は55mgとされてきましたが、これは煮沸に鉄釜を使った場合の値で、最近主流のステンレス釜では6.2mg。鉄釜を使用した場合の値も、58.2mgと若干、変更されています。ともに国内産干しひじきの値で、輸入品については、製造方法が不明であることから、鉄の含有量の分析はされていません。(「鉄釜」とは、家庭で調理に用いる「鍋」のことではなく、「製造用の釜」です)
効率よく鉄を摂取するには?
不足しがちな鉄を、食事で効率よく摂取するには?
3回の食事でこまめに摂る。
鉄は一度に吸収される量がきわめて少なく、多めに摂っても排泄されてしまう。
1日3食でこまめに摂る事が望ましい。
吸収率の高いヘム鉄を摂る。
鉄には、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる 「非ヘム鉄」があります。「非ヘム鉄」の体内での吸収率は2〜5%と低いものの、「ヘム鉄」の吸収率はその数倍(ヘム鉄の吸収率については、10〜20%、15〜30%、20〜30%等々、諸説あり)とされ、大きな差があります。
※動物性食品は、赤身肉、レバー、貝、魚等。
※植物性食品は、大豆、大豆製品、穀物、野菜、海藻等。
非ヘム鉄も、食べ合わせで吸収率を上げる事が可能です。
鉄の吸収を助ける食品と食べ合わせる。
肉や魚等の動物性たんぱく質(アミノ酸)やビタミンC(アスコルビン酸)は鉄の吸収を助けます。
非ヘム鉄の食品は肉や魚と一緒に食べたり、ビタミンCの多い野菜や 果物と一緒に摂るようにしましょう。
鉄の吸収を妨げる食べ合わせを避ける。
タンニン、フィチン酸、シュウ酸は、鉄の吸収を抑制します。また食物繊維も、摂り過ぎると、鉄等ミネラルの吸収を妨げてしまう可能性があります。
※タンニン:コーヒーやお茶に含まれます。
※フィチン酸:玄米やライ麦パンに含まれます。
※シュウ酸:ほうれん草に含まれる「あく」の成分です。ほうれん草は「あく抜き」を忘れずに。(ほうれん草には、赤血球の新生に欠かせない葉酸が多く含まれています)
コーヒーやお茶は食事とは時間をずらして飲むのがよいようです。

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